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ITモダナイゼーション

ITモダナイゼーションが期待外れとなる4つの理由 - 避けるべき落とし穴 | Kyndryl

お知らせ 2022/12/05 読み取り時間:

世界がパンデミックに立ち向かう中、企業はデジタルファーストのソリューションやシステムへ注力し、顧客、従業員、パートナーへより優れたエクスペリエンスやサービス、成果を提供し続けています。 全世界におけるデジタル変革への投資は、2026年に3.4兆ドルに達すると予測されています。1

デジタル化の成功を推進するために、多くの企業はITモダナイゼーションを積極的に進めています。 しかし多くの場合、デジタルモダナイゼーションの取り組みもITモダナイゼーションの取り組みも、期待を下回る結果になってしまいます。 変革の過程にかかる時間とコストは、多くの企業の想定をはるかに超えてしまっているのです。

では、何がITモダナイゼーションの成功を妨げているのでしょうか? 各企業が抱える課題はそれぞれ異なりますが、こうした取り組みが成功しないのには、いくつか共通する理由があります。
 

理由1:クラウドが簡素化しすぎている

クラウドは、コスト削減、運用上のアジリティ、ビジネスの成長に合わせた拡張性、というメリットを得ながら、コンピューター、ストレージ、アクセス、セキュリティのニーズをすべて容易に統合できる手段です。 しかし、クラウドへの移行は簡単に成し遂げられるものではありません。 特にプロジェクトのスケジュールに遅れが生じた場合、移行コストやダウンタイム、移行作業、そして不測の事態などが次々と発生してしまいます。

一方でクラウド移行を慎重に進めれば、長期的な成功はもちろんのこと、短期的にも成果を得られます。

  • 戦略的に考え、セキュリティや効率性を最適化しましょう。 すべてのワークロードがクラウドに属しているわけではありません。 まずは、自分たちの組織は何を移行しなくてはならないかを洗い出し、必要な時に必要なオペレーションがすべて機能するように、あるいは少なくとも可能な限りダウンタイムが短くなるように、タイムラインを設定します。 クラウドのコスト削減は長期的に考える必要があり、それを踏まえて財務上のメリットを評価する際には、財務と運用を組み合わせたFinOps戦略を検討したほうがよいでしょう。
  • 不測の事態に備えて、柔軟に戦略を変更できるよう体制を整えましょう。 例えば、カルフール・ベルギーは、オンプレミスサーバーからGoogle Cloud Platformへの移行にあたり、初期段階でオーバーヒートを起こしたことがあります。その間、非常事態措置を取り、タイムラインが完了するまでサービスをオンライン状態で保たなければならなくなりました。 同社は、危機的状況にあるシステムを臨時のクラウド環境へ移行することで、ダウンタイムやデータ損失を防ぎ、クラウド移行をスケジュール通りに完遂させました。 このときに設けられた臨時環境は、計画通り後日、永続プラットフォームへ移行されました。
  • プラットフォームベースの運用モデルでクラウド管理を簡素化しましょう。 BRFグローバルは、世界中の人々に高品質な食品を安全に提供することを目指し、数多くの企業を運営しています。 同社は他社を買収しては自社に統合することを繰り返してきたため、2万を超えるクラウドアセットの管理を余儀なくされてしまいました。 そこで彼らは、統合型のマルチクラウド管理プラットフォームを採用し、単一の制御ポイントから全体の問題を確認し対応できる仕組みを整えました。
  • ビジネス成長を見据えて拡張性を持たせましょう。コンパスグループ・スペインは、地域市場で常に自律的な運営を行ってきましたが、会社の方針により共有デジタルインフラストラクチャーへの移行が求められ、それに適応する必要が出てきました。 ですが、彼らはすでにプライベートクラウドへ切り替えていたため、Amazon Web Services (AWS) への移行はスムーズに進みました。 現在同社は、AWS内および親会社に対して拡張性を保ちながら、同時に自律性も維持しています。
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理由2:目まぐるしい変化

さまざまな業界のお客様を支援してきましたが、一般的な企業にはある共通点が存在することに気づきました。それは、最大で10個のデジタル変革を同時に実行する中で、内部で人材やリソースの奪い合いが発生してしまっていたことです。 意欲こそ評価に値しますが、焦点を絞らない変革はサービスの解約や燃え尽き症候群につながりかねません。 また、なにか問題が発生してしまうと、その問題の検出や診断に数日かかり、それがダウンタイムや障害を招き、1時間あたり数十万ドルにもおよぶ損失を生んでしまいます。

ITモダナイゼーションには規律が必要です。 一度にすべてを変えようとするのではなく、事業目標のうち最も重要なプロジェクトは何かを順位付けして取り組みを最適化し、そのうえで自分たちのデジタル変革が意図的かつ効果的であることを可能な限り認識しながら、ITモダナイゼーションを進めてください。

 

理由3:スピード優先の移行

企業全体の技術スタックを対象としたモダナイゼーションにおいて重要なのは、スピードではなく、ビジネスが利益を得ることです。 スピードを重視するよりも、適切に実行するほうがはるかに重要であり、これは自社のワークロードにおいてプロセスを中心に据えることへとつながります。

フォーカスが定まらぬまま、スピードだけを求めてクラウド移行を進めると、まったく意図していなかった結果につながりかねません。 また、計画を立てずに移行を進めると、主要システムやワークロードがコンプライアンスに抵触し、法的な問題や罰金が生じたり、本来なら単純に避けられたはずの追加費用がかかったりすることがあります。 計画的、戦略的なクラウド移行には多くの時間が必要になりますが、変革によって最大限の効果を得るにはこの方法しかないといっても過言ではありません。

社内の順応スピードよりITの変革が速くなりすぎると、チームのペースが追いつかなくなり、混乱や無駄が生じてしまいます。 だからこそ、事前に戦略を練り、あらゆる物事を考慮したうえで運用していく必要があるのです。 ワークロードの優先順位を付け、着実に、辛抱強く対応すれば、いつか必ずITによる変化にビジネスが順応できるようになります。

 
理由4:レガシーシステムの処理

デジタルファーストの経済に向けたモダナイゼーションにおいて最も難しい課題の一つが、レガシーシステムの統合です。 それぞれの時代で構築され、複雑にサイロ化されたレガシーシステムは、コストの観点からもITモダナイゼーションの大きな壁になります。 プロセスの一部分にあたるセグメントを最適化したとしても、処理に多くの時間がかかるレガシーシステムがそのセグメントに割り込み、遅延やコスト超過などのトラブルを発生させてしまう恐れがあります。

だからと言って、レガシーシステムが完全に追いつくまでシステムの保守を更新し続ける必要はありません。 デジタル戦略をレガシーシステムへ統合することからモダナイゼーションのプロジェクトを進めるのです。 これにより、それまでとは別の用途で、レガシーシステムの一部を新しい方針内で再利用できるようになるかもしれません。 最初から適切な内容と統合パターンを設定し、デジタル変革を成功へ導いていけば、、本来の目的である長期的メリットを享受しつつ、競争力も維持できます。

 
新たなアプローチ

ITモダナイゼーションの取り組みに適切な優先順位を付けること、時間をかけてそれを正しく理解すること、レガシーシステムを有効に統合すること、これらはデジタルビジネスの成功に欠かせない条件です。 更新そのものを目的にすべてのシステムを刷新するのではなく、ビジネスやモダナイゼーションにおけるニーズや文脈に焦点を当て、チーム、プロジェクト、目的を最優先してください。

このアプローチを遂行するには、テクノロジーではなく運用を中心に考え、ITモダナイゼーションの枠を超えてその先の「運用モダナイゼーション」を考えられるような、先見の明を持つリーダーが必要です。 そのようなリーダー軸にITモダナイゼーションを目指せば、チームや顧客へ真の価値をもたらすことができます。

以下をクリックし、ITモダナイゼーション、運用のモダナイゼーション、デジタル分野における成功についての Nel Akoth、Guy Tallent、Benedikt Ernstとの対談をご視聴ください。