世界がパンデミックに立ち向かう中、企業はデジタルファーストのソリューションやシステムへ注力し、顧客、従業員、パートナーへより優れたエクスペリエンスやサービス、成果を提供し続けています。 全世界におけるデジタル変革への投資は、2026年に3.4兆ドルに達すると予測されています。1
デジタル化の成功を推進するために、多くの企業はITモダナイゼーションを積極的に進めています。 しかし多くの場合、デジタルモダナイゼーションの取り組みもITモダナイゼーションの取り組みも、期待を下回る結果になってしまいます。 変革の過程にかかる時間とコストは、多くの企業の想定をはるかに超えてしまっているのです。
では、何がITモダナイゼーションの成功を妨げているのでしょうか? 各企業が抱える課題はそれぞれ異なりますが、こうした取り組みが成功しないのには、いくつか共通する理由があります。
理由1:クラウドが簡素化しすぎている
クラウドは、コスト削減、運用上のアジリティ、ビジネスの成長に合わせた拡張性、というメリットを得ながら、コンピューター、ストレージ、アクセス、セキュリティのニーズをすべて容易に統合できる手段です。 しかし、クラウドへの移行は簡単に成し遂げられるものではありません。 特にプロジェクトのスケジュールに遅れが生じた場合、移行コストやダウンタイム、移行作業、そして不測の事態などが次々と発生してしまいます。
一方でクラウド移行を慎重に進めれば、長期的な成功はもちろんのこと、短期的にも成果を得られます。
- 戦略的に考え、セキュリティや効率性を最適化しましょう。 すべてのワークロードがクラウドに属しているわけではありません。 まずは、自分たちの組織は何を移行しなくてはならないかを洗い出し、必要な時に必要なオペレーションがすべて機能するように、あるいは少なくとも可能な限りダウンタイムが短くなるように、タイムラインを設定します。 クラウドのコスト削減は長期的に考える必要があり、それを踏まえて財務上のメリットを評価する際には、財務と運用を組み合わせたFinOps戦略を検討したほうがよいでしょう。
- 不測の事態に備えて、柔軟に戦略を変更できるよう体制を整えましょう。 例えば、カルフール・ベルギーは、オンプレミスサーバーからGoogle Cloud Platformへの移行にあたり、初期段階でオーバーヒートを起こしたことがあります。その間、非常事態措置を取り、タイムラインが完了するまでサービスをオンライン状態で保たなければならなくなりました。 同社は、危機的状況にあるシステムを臨時のクラウド環境へ移行することで、ダウンタイムやデータ損失を防ぎ、クラウド移行をスケジュール通りに完遂させました。 このときに設けられた臨時環境は、計画通り後日、永続プラットフォームへ移行されました。
- プラットフォームベースの運用モデルでクラウド管理を簡素化しましょう。 BRFグローバルは、世界中の人々に高品質な食品を安全に提供することを目指し、数多くの企業を運営しています。 同社は他社を買収しては自社に統合することを繰り返してきたため、2万を超えるクラウドアセットの管理を余儀なくされてしまいました。 そこで彼らは、統合型のマルチクラウド管理プラットフォームを採用し、単一の制御ポイントから全体の問題を確認し対応できる仕組みを整えました。
- ビジネス成長を見据えて拡張性を持たせましょう。コンパスグループ・スペインは、地域市場で常に自律的な運営を行ってきましたが、会社の方針により共有デジタルインフラストラクチャーへの移行が求められ、それに適応する必要が出てきました。 ですが、彼らはすでにプライベートクラウドへ切り替えていたため、Amazon Web Services (AWS) への移行はスムーズに進みました。 現在同社は、AWS内および親会社に対して拡張性を保ちながら、同時に自律性も維持しています。