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クラウド

クラウドCoE(センター・オブ・エクセレンス)を正式に設置するトレンドの背景

お知らせ 2023/04/27 読み取り時間:
Sandipan Chakraborti

企業が積極的にデジタル化とITモダナイゼーションを推進するにつれて、クラウドへの投資が増加しています。

Gartner®のレポートでは、「2026年までに組織の75%が、基本的な基盤プラットフォームとしてクラウドを前提としたデジタル変革モデルを採用するでしょう。」1と述べられています。

マクロトレンドを反映して、私が会うお客様企業の多くは、クラウドCoEを正式に設置する取り組みを開始しています。この取り組みは、望ましい大きな利益を約束するものです。

クラウドCoEを創生する企業は、アプリケーション、プラットフォームエンジニアリング、戦略とアーキテクチャー、最新のIT運用の各側面をより適切に構築し、統合できます。これはすべて、アプリケーションのクラウド移行とモダナイゼーションの加速につながります。IT投資をクラウドネイティブ機能に移行するというプレッシャーにさらされている企業にとって、重要な戦略であることは明らかです。

クラウドCoEを正式に設置した企業は、効率性、アカウンタビリティ(説明責任)、セキュリティ、ガバナンスの分野に加え、可視性とコスト予測の向上において大きなメリットが得られたと報告しています。1それらの理由には説得力があります。

クラウドCoEによってもたらされる変化

クラウドCoEを確立することで、テクノロジーにポジティブな変化とチームの新しい働き方、そして非常に待ち望まれているカルチャーの変化がもたらされます。

  1. イノベーションのスピードクラウドCoEはイノベーションを推進し、普及させることができます。クラウドCoEは通常、アーキテクチャー設計、業界リファレンスアーキテクチャー、ブループリントの標準化の推進を実行するエグゼクティブアーキテクトで構成されています。企業はイノベーションを日々のプロジェクトで実行できるよう組み込み、組織を確立しています。
  2. コスト管理 予算とリソースの管理では、クラウドコストの割り当て、クラウドリソースのタグ付け、コストのチャージバックとビジネス部門へのショーバックが改善され、コスト管理の完全な透明性が確保されます。これにより、企業内のさまざまな役割がコストとリソースの使用状況を管理・報告できるようになります。
  3. より横断的な組織体制製品、アプリケーション開発、プラットフォームエンジニアリングの各組織が、より効率的にソリューションを共同作成できます。これにより、より高速でアジャイルにソリューションが導入でき、企業の技術的負債が削減され始めます。
  4. ベストプラクティスの共有セキュリティ、リスク、コンプライアンスの機能が向上することで、クラウドインフラストラクチャーの脅威の管理が改善されます。これにより、最終的にクラウドインフラストラクチャーのプロビジョニングと管理における企業セキュリティの成熟度が決定されます。
  5. クラウド運用の改善自動化が進むことで、可観測性、監視、プロアクティブな修復技術、災害復旧管理、運用レジリエンシーが向上し、組織全体のクラウド運用が改善されます。
製品、アプリケーション開発、 プラットフォームエンジニアリングの各組織が、より効率的にソリューションを 共同作成できます。

一般的なクラウドCoEモデル

クラウドCoEは、経営層への助言とガイダンスを提供する専門チームとして機能します。誰にでも合う万能サイズのTシャツがないのと同様に、すべてに対応できる万能のクラウドCoEもありません。ただし、出発点となる一般的な構成要素があります。

  • エンタープライズアーキテクチャーとガバナンス: この役割は多くの場合、一元化されたクラウド導入戦略の主要な仲介役であり、最高戦略責任者に直接報告します。大企業では、クラウドCoEの導入は最高戦略責任者または最高エンタープライズアーキテクトが責任者となり推進されることが多くあります。
  • 製品およびプラットフォームエンジニアリング: クラウドエンジニアリングとクラウドCoEのイノベーションの中核を形成します。よりスマートで効率的な方法で、クラウドネイティブのテクノロジーとソリューションを導入し、より高いパフォーマンスと規模の拡大を実現します。製品内およびプラットフォーム製品の管理は、イノベーションとより迅速な市場投入戦略につながります。
  • 最新のクラウド運用と持続可能性: クラウド運用の自動化と生産性には多くのメリットがあり、これはクラウドCoEを導入することで実現できます。変更の大部分は、クラウドネイティブテクノロジーやシングルクリックに固有のソフトウェア製品やサービスのリリースと管理など、革新的な方法の推進によって行われます。
  • 変更管理: クラウドCoEの導入により、プロセスや技術の変更に対する抵抗が生じる可能性があります。研修の実施、メリットの伝達、イネーブルメントは極めて重要であり、部門横断的な活動を調整するのに役立ちます。
  • セキュリティ、リスク、コンプライアンスの管理: CISOとその配下のチームは、セキュリティの脅威と脆弱性を管理するためにどのような予防策を講じることができるかを継続的に検討します。これにより、クラウドCoEでセキュリティ体制のガードレールを確立し、定期的に抜き打ちのコンプライアンス監査を実施することができます。
  • ソーシングとベンダー管理: 今日のクラウド経済では、大企業はマルチソーシングとマルチベンダー戦略で成功しています。クラウドCoEは、サプライヤーとパートナー間の健全な競争を誘発するエコシステムの促進に役立ち、あらゆる側面でメリットをもたらします。
CoEの開始にあたり必要なケイパビリティ

クラウドCoEの確立には、複数の企業ドメインの構築と統合が必要です。大企業や中規模企業では、従業員に技術とビジネスでのケイパビリティが適切に組み合わせている傾向があります。クラウド・マネージドサービス・プロバイダーのサポートを受け、ITの複雑さを克服する企業もあります。ほとんどの企業は、クラウドCoEの運営に必要なケイパビリティを社内で構築し始めることが可能です。

必要なケイパビリティの例:

  • DevSecOpsエンジニアリング
  • Infrastructure as Code
  • クラウドネイティブアプリケーション開発
  • 製品およびプラットフォームエンジニアリング
  • FinOps
  • セキュリティと脅威のモデリング
  • IoTとビッグデータ分析

もちろん、クラウドCoEの立ち上げは、関係者全員にとっての変更管理のプロセスとなります。最善の策は、ビッグバンアプローチを採用するのではなく、概念実証(PoC)から始めることです。生産性、市場投入までの時間、グローバルな拡張性に関する企業のパフォーマンス指標を定義し、測定します。

Sandipan Chakrabortiはは、キンドリルのハイブリッドクラウドコンサルティングのアソシエイトディレクターです。


1 Gartner, Predicts 2023: The Continuous Rising Tide of Cloud Lifts All Boats, 9 March 2023.

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