Patrick White, Simos Hadjiyiannis
*スプロール現象とは:都市が急速に発展し、都心部から外縁に向かってと無秩序・無計画に市街地開発が不規則に広がる現象。
信頼性が低く非効率なITインフラは、業界を問わず企業を悩ませています。多くの場合、経営陣はイノベーションの推進に集中しているため、ITインフラの合理化と統合を優先することができていません。
その結果、ITオペレーションは非効率的となり、環境は不安定で、運用コストも高くなります。さらに悪いことに、ほとんどの経営陣は、拡大するIT資源(以下、ITスプロール)が、事業運営や顧客との関係に悪影響を及ぼしていることに気づいていません。
では、自社がITスプロールに苦しんでいるかどうか、そしてこのITの課題を解決するために何ができるか、それらを知るにはどうすればよいのでしょうか?
一緒に解決策を見つけましょう。
ITスプロールが大きくなりすぎているかどうかを見極める方法
私たちは20年以上にわたって、世界中のさまざまな業界におけるITに携わってきました。そこであらゆる業界で共通する、企業がITスプロールに直面していることを示す以下6つの兆候に気が付きました。
- 統合の際に生じる問題: あまりにも多くのバリエーション、テクノロジー、サービスを1つのシステムに統合しようとすると、大規模で非効率的なITの乱立が生じます。.
- 適切な人材の確保 :ITスキルの格差が拡大していることはよく知られています。そして、ITスプロールの要因の1つは、組織のITシステムの多様性と複雑性です。こうした複合的な課題により、複数のシステムを効果的に管理するための専門スキルを持つ人材の確保が特に難しくなっています。
- 複雑な保守契約: システム環境にある製品やシステムが多すぎると混乱を招き、新しいインフラを考慮するために何度も契約を見直すことになります。
- 増え続けるコスト: ITスプロールが大き過ぎる場合、1人当たりのITコストも高過ぎる可能性が高いです。これらのコストは業界によって大きく異なります。例えば、石油会社とコールセンター会社では、ITコストが異なります。経営層は、自社の業界のベンチマークを理解することが重要です。
- 低い利用率とサイロ化されたデータ・ストレージ: サーバーやインフラが十分に活用されていない可能性があります。アプリケーションやプラットフォームなどが多すぎると、機能の重複が増え、非効率になりやすいです。サイロ化したデータストレージもITスプロールのよくある例の1つです。これらの問題を解決するためにも、システムの統合は必要だと言えるでしょう。
- シャドーIT:シャドーITとは、IT担当者以外によってIT資産やシステムが導入・管理されることです。例えば、エンジニアリングチームが、IT部門に気づかれることなく、独自のアプリケーションサーバーをインストールし、管理することがあります。このような状況は、ITスプロールを悪化させ、セキュリティ、可用性、信頼性、その他のリスクを企業にもたらします。
こうした兆候の多くは、合併・買収(M&A)、IT部門の分散化、CIOの優先順位の変化が直接の原因です。数多くのM&Aを行った企業ではITが整理統合されていない可能性が高いです。同様に、ITが分散化している企業では、地域、機能、オフィスが異なるため、インフラのガバナンスや管理が非常に難しくなっています。さらに、CIOが具体的な戦略を持たなかったり、優先順位が変わり続けたりすると、企業のITスプロールは不必要に拡大します。