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ITのスプロール現象を食い止めるー拡大するIT資源を削減する方法| Kyndryl

お知らせ 2023/07/17 読み取り時間:
Patrick White, Simos Hadjiyiannis

*スプロール現象とは:都市が急速に発展し、都心部から外縁に向かってと無秩序・無計画に市街地開発が不規則に広がる現象。

 

信頼性が低く非効率なITインフラは、業界を問わず企業を悩ませています。多くの場合、経営陣はイノベーションの推進に集中しているため、ITインフラの合理化と統合を優先することができていません。

その結果、ITオペレーションは非効率的となり、環境は不安定で、運用コストも高くなります。さらに悪いことに、ほとんどの経営陣は、拡大するIT資源(以下、ITスプロール)が、事業運営や顧客との関係に悪影響を及ぼしていることに気づいていません。

では、自社がITスプロールに苦しんでいるかどうか、そしてこのITの課題を解決するために何ができるか、それらを知るにはどうすればよいのでしょうか?

一緒に解決策を見つけましょう。

ITスプロールが大きくなりすぎているかどうかを見極める方法

私たちは20年以上にわたって、世界中のさまざまな業界におけるITに携わってきました。そこであらゆる業界で共通する、企業がITスプロールに直面していることを示す以下6つの兆候に気が付きました。

  1. 統合の際に生じる問題: あまりにも多くのバリエーション、テクノロジー、サービスを1つのシステムに統合しようとすると、大規模で非効率的なITの乱立が生じます。.
  2. 適切な人材の確保 :ITスキルの格差が拡大していることはよく知られています。そして、ITスプロールの要因の1つは、組織のITシステムの多様性と複雑性です。こうした複合的な課題により、複数のシステムを効果的に管理するための専門スキルを持つ人材の確保が特に難しくなっています。
  3. 複雑な保守契約: システム環境にある製品やシステムが多すぎると混乱を招き、新しいインフラを考慮するために何度も契約を見直すことになります。
  4. 増え続けるコスト: ITスプロールが大き過ぎる場合、1人当たりのITコストも高過ぎる可能性が高いです。これらのコストは業界によって大きく異なります。例えば、石油会社とコールセンター会社では、ITコストが異なります。経営層は、自社の業界のベンチマークを理解することが重要です。
  5. 低い利用率とサイロ化されたデータ・ストレージ: サーバーやインフラが十分に活用されていない可能性があります。アプリケーションやプラットフォームなどが多すぎると、機能の重複が増え、非効率になりやすいです。サイロ化したデータストレージもITスプロールのよくある例の1つです。これらの問題を解決するためにも、システムの統合は必要だと言えるでしょう。
  6. シャドーIT:シャドーITとは、IT担当者以外によってIT資産やシステムが導入・管理されることです。例えば、エンジニアリングチームが、IT部門に気づかれることなく、独自のアプリケーションサーバーをインストールし、管理することがあります。このような状況は、ITスプロールを悪化させ、セキュリティ、可用性、信頼性、その他のリスクを企業にもたらします。

こうした兆候の多くは、合併・買収(M&A)、IT部門の分散化、CIOの優先順位の変化が直接の原因です。数多くのM&Aを行った企業ではITが整理統合されていない可能性が高いです。同様に、ITが分散化している企業では、地域、機能、オフィスが異なるため、インフラのガバナンスや管理が非常に難しくなっています。さらに、CIOが具体的な戦略を持たなかったり、優先順位が変わり続けたりすると、企業のITスプロールは不必要に拡大します。

準備こそがIT資源有効活用の対策のカギ

私たちは、IT資源の縮小に取り組み、物理的なスペースを解放し、より柔軟性を生み出すことに成功した企業とともに歩んできました。取り組みを始める前に、発見、棚卸し、コミュニケーション作業を行うことが重要です。

  • ビジネスの将来を見据えて構築する: 例えば、特定の拠点をリフレッシュすることが重要だと考えていても、そのうちの200の拠点が将来的になくなることがビジネス部門ではすでに決定しているかもしれません。適切なIT決定を下すには、現在使用しているものと、将来的にも使用する予定のものの両方を知る必要があります。
  • エンドユーザーのIT利用を認識する: ユーザーがどのようにITを利用しているかを把握します。また、ビジネスの継続に支障をきたさないよう、何が移動可能で何が移動不可能かを把握してください。例えば、3,000マイル離れた場所にあるサーバーを移動するとして、そのサーバーが1日に何百回も使われていた場合、サーバーの移動はエンドユーザーのビジネスを大幅に遅らせることになります。
  • 合理化を優先する: 合理化なくして企業の進歩はありません。自動化を実現する前に、ITが何にどのように使われているかを知る必要があります。
  • 全ての関係者に計画を伝える:  組織内の一部のグループではまだ「古い」アプリを使用している可能性があるため、彼らが気づかなければ、彼らのビジネスに影響を及ぼします。企業はプロセス全体を通じて、全ての関係者に情報を提供し、賛同を得なければなりません。
  • 複雑な技術要求を期待する:全てのフェーズにおいて複雑で技術的な作業が発生します。技術リーダーは、ビジネスが最終的に会社に悪影響を与えるような意思決定をしないよう、初日からすべてのフェーズに関与する必要があります。
注意すべき重要なことの1つは、ITとビジネスリーダーの双方が、将来的に利益を享受するために、初期投資と継続的な投資が必要であると理解していることを確認することです。

お客様のユースケース

私たちは最近、ある世界的なインフラ企業と仕事をしました。その企業はサーバーのサポートが終了したために大きなリスクを抱えていたため、私たちは世界中の物理および仮想サーバーとストレージの更改、統合、仮想化の支援を行いました。さらにプロジェクトを通じて、データセンターとオフィスのインフラ検出を実行し、新しい仮想化ホストとクラスターを導入し、物理サーバーを可能な限り減らしました。

導入は現在も進行中ですが、同社ではすでに、機能停止リスクの大幅な削減、インシデントのトラブルシューティングの自動化、Palo Alto Prismaを介したローカルイグレスによるネットワーク遅延の削減、ネットワーク・エンタープライズ・ルーティング技術の標準化、自動コンプライアンスチェックによるグローバル標準構成の検証などを達成しています。

余剰のIT資源を削減するための5つのステップ

上述のようなお客様との成功体験から、私は以下のようにIT資源を削減するためのワークフローを提案します。

  • ステップ1 - 検出:サーバー、ストレージ、アプリケーション、およびサービスのITインベントリを作成するために、上記ユースケースのような検出を実行します。
  • ステップ2 - 分析: インベントリ、キャパシティ、使用年数、稼働率、パフォーマンスを分析します。
  • ステップ 3 - レビュー: 分析結果をユーザーとレビューし、アプリケーションとサービスの合理化、統合、廃止の機会を特定します。
  • ステップ4 - 作成: 設計、コストケース、計画を作成します。この計画には、最新の合理的で統合されたITインフラと、新しい機能やサービスのためのキャパシティを含める必要があります。
  • ステップ5 - 実行: ITインフラの再構築、移行、廃止、モダナイゼーション、一元化の計画を実行します。

注意すべき重要なことの1つは、ITとビジネスリーダーの双方が、将来的に利益を享受するために、初期投資と継続的な投資が必要であると理解していることを確認することです。例えば、継続的な投資には、新しいハードウェア、修復、更改作業などが含まれます。さらに、シャドーITの排除など、ユーザー行動の変化が必要になる場合もあります。

健全なITの姿とは

M&A、事業売却、デジタル変革など、企業は常に変化しています。その中でも、ITインフラストラクチャーの統合、最適化、合理化などを通して、効率性とレジリエンシーの両方を実現することが可能です。

Patrick Whiteはキンドリルのバイス・プレジデントです。
Simos Hadjiyiannisはキンドリルのディレクター兼チーフアーキテクトです。