銀行業界のリーダーは、現在の勘定系システムが直面している課題を把握しており、モダナイゼーションがもたらすメリットについても理解しています。実際、アメリカの銀行の36%は、今後2年間でコアバンキングシステムの変革をサポートする社内ITシステムのモダナイゼーションを優先しています。*1
さらに彼らは、モダナイゼーションに伴うリスクも認識しています。ボストンコンサルティンググループの調査によると、デジタル変革の70%が目的を達成できず、しばしば深刻な結果を招くことを明らかにしました。*2(ボストンコンサルティンググループが「深刻な」という言葉を使うときは、多くの人が懸念します。)
では、日増しに高まる変革の必要性と、同時に存在する変革そのものが引き起こし得るリスクへの対応という難題にどう対処したら良いのでしょうか?
私が考える変革のカギは、目的に応じたインフラストラクチャーの選定、つまり現在と将来のビジネス目標を満たすように設計された信頼性が高くスケーラブルなインフラストラクチャーを選定することが必要になります。
勘定系システムのモダナイゼーションに向けたアプローチ
多くの銀行は、コアとなる全コンポーネントをクラウドネイティブアプリケーションに完全にモダナイズすることを前提にIT環境を構築する必要があります。なぜなら、データセンターの閉鎖時期が迫っていたり、書き換えのためのIT予算が確保できなかったり、あるいは規制当局が短期間での進捗を要求したりと、さまざまな要件が存在するからです。
一方、現在銀行が利用するアプリは、クラウドサービス用に最適化されておらず、拡張性やゼロトラストが考慮されていません。そのため多くのアプリが意図せず動作し、クラウド料金の高騰やセキュリティの脆弱性など、管理における問題が生じています。
つまり、モダナイゼーションに向けたアプローチとしては、勘定系システムのモダナイゼーションを行うために、あらゆる変革のベストプラクティスを理解する必要があります。リーダーの多くは、どのプラットフォームが目的に合っているかを決める前に、変革のレベルを定める必要があります。例えば、再開発が必要なアプリがあれば、クラウドに移行するアプリもあるかもしれません。
そのため、勘定系システムのモダナイゼーションに必要なレベルを理解すれば、どのプラットフォームに構築すべきかの判断がつくようになります。