執筆者:Aaron Severance
2025年1月は、金融サービス業界におけるサイバー規制コンプライアンスにとって重要な転換点となることが予測されています。
その時、欧州連合はデジタル運用レジリエンス法(DORA)の施行を開始し、銀行や金融機関の情報通信技術(ICT)システム、およびそれらを支援する第三者サービス提供者のICTシステムが、包括的なサイバーセキュリティ規則に従う初めての事例となります。
EUでビジネスを行っていない組織であっても、DORAの施行がどのように進行するかを注視し、新たなサイバーレジリエンシー規則に備えています。
プロアクティブなコンプライアンス戦略への移行
規制環境が常に変化する中で、同僚と私は、企業がICT関連の脅威や混乱に備え、対策を講じ、耐え抜き、回復するためのサイバー規制対応アプローチを開発し、規制当局の期待にも応えられるよう支援しています。
ここでは、金融機関のITインフラストラクチャーにおけるサイバー規制のギャップを埋めることができる戦略の重要なステップ5つをご紹介します。
1. 規制の枠組みを理解する
ITインフラにおけるギャップを探す前に、リスク部門とコンプライアンス部門と連携し、各規制が組織にどのような影響を与えるか、また法務チームがその規則をどのように解釈するかを理解することが重要です。
2023年7月に採択された米国証券取引委員会(SEC)の規則を考慮すると、登録企業は「重要なサイバーセキュリティインシデント」を、組織がそのインシデントが重要であると判断した日から4日以内に報告することが求められています。1規制の変更では「重要」の定義が提供されておらず、各企業の法務チームがその用語を定義し、IT部門が必要に応じてインシデントを報告するために使用できる適切なフレームワークを作成することが求められています。
一方、DORAやネットワーク情報セキュリティ指令(NIS 2)2のような規制は、貴社のビジネスを支援する企業にも適用されます。そのため、利用しているサードパーティの技術提供者も規制について認識し、規則がそのサービス提供にどのように影響するかを理解している必要があります。プロバイダーのICTシステムへの違反に対して貴社が全責任を負うのか、それともリスクを共有するのかを必ず明確にしましょう。