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データ&AI

大規模な責任ある生成AIについて経営層の意識調査

お知らせ 2024/05/10 読み取り時間:

ビジネスにおける生成AIに関する話題は、依然として始まったばかりの段階にあります。


潜在的なユースケースが急増し、経営陣はその活用をテストするために資金を継続的に提供しています。2022年後半にOpen AIのChat GPTが公開されて以来、生成AIの話題が目立ちますが、キンドリルの調査では、このテクノロジーを企業全体で責任を持って使用する準備が整っている企業は4社に1社しかありません。

  • 経営陣が責任あるAIという意味で足並みを揃えているか
  • AIプロジェクトの運営委員会を設置しているか
  • 企業のITインフラは全社での生成AIの使用をサポートできると確信しているか

キンドリルは、大規模に責任ある生成AIのメリットを享受できる企業が、どれだけその実現に近づいているか(あるいはそれほど近づいていないか)を明確化するために、109人の経営層にこれらの質問を尋ねる調査を調査会社に委託しました。

ここでは、企業で責任を持った生成AIを全社的に使用するための準備として、同様の会話を始めるための参考となる主な調査結果を説明していきます。

ほとんどの企業が生成AIの活用をテストしていますが、その半数近くがより戦略的なアプローチを必要としています。

調査に回答した企業のうち、生成AIアプリケーションを現在稼働させているのは18%と少なく、大多数は検討と概念実証(PoC)のあらゆる段階にあります。わずか6%が、自社は生成AIを優先事項としていないと回答しました。

しかし、AIがあらゆる場所に普及する時代に差し掛かっているとすると、戦略立案が優先事項になっていることも予想されるかもしれませんが、あまり明確ではないようです。回答者のわずか10%が、生成AIを全社的に活用するために戦略の文書化を完了したと回答しました。ほぼ半数(48%)は、まだ始めてすらいません。

この調査結果は、AIを全面的に採用したいという希望とそれを実現する動きとの間にギャップがあることを示唆しています。ではそのギャップの背景にあるものは何でしょうか。生成AIは比較的初期段階にあるため、大規模での実現に関しては疑問が多く、戦略の文書化が複雑になる可能性があります。

注目すべきは、準備状況の総合スコアが高かった企業は、はるかに先に進んでいるということです。 

質問: 自社では生成AIを全社的に活用するための戦略/計画が文書化されていると思いますか。

質問: いつまでに生成AIを全社的に展開する準備ができると確信していますか。

質問: 生成AIに関連する優先事項についての議論の中で、IT部門と事業部門はどの程度緊密に連携していますか。

 

責任あるAIの使用とAIガバナンスを調整するための活動は依然として進行中です。

調査対象の経営層のうち、責任あるAIに関する心構えを文書化したと答えたのはわずか17%でした。50%は経営陣の一部に責任あるAIに関して心構えがあると答えていますが、まだ完全に文書化されていません。

これらの数字は、規制がまだ進行中であること、あるいはAIガバナンスの複雑さを反映しているのかもしれません。大規模な生成AIの導入を検討している企業は、倫理的な使用基準、説明のしやすさ、バイアス検出方法、その他の責任ある使用上の考慮事項について責任を負うことになります。多くの企業にとって、これは未知の領域です。

企業のAIプロジェクト運営委員会は、責任ある使用を調整する役割を最終的には継承することになるかもしれません。今回の調査結果では、AI運営委員会(40%)およびデータガバナンス協議会(42%)を設置し、生成AIの準備状況を周知する動きが確実に見られます。

責任あるAIに関する心構えを文書化した企業は、AI運営委員会とデータガバナンス協議会を設置する傾向がはるかに高くなっています。後者の重要性は何度言っても足りないくらいです。生成AIに限らず、人工知能はその原動力となるデータによって決まるからです。

その作業の重要性、複雑さ、微妙な性質により、大規模言語モデル運用 (LLMOPs)、データプライバシー、リスク修復、ガバナンス、大規模な生成AI展開におけるその他の懸念を解決するべく企業を支援する、新しい種類のAIガバナンスの専門家も出現すると予想されています。彼らは企業がテクノロジーを活用し、可能性を切り拓くことを支援することになるでしょう。

質問: 貴社の経営陣は、責任あるAIに関する見解についてどの程度足並みを揃えていますか。

質問: 貴社にはAIプロジェクトの運営委員会がありますか。

質問: 貴社には、生成AIの準備をリードしてくれるデータガバナンス協議会がありますか。

 

責任ある生成AIを大規模に実現するには、基礎的な技術要件にも注意を払う必要があります。

社内でリーダーが企業全体での生成AIの使用をどう管理できるか考慮する以外にも、技術的な要件があります。

生成AIから最大の利益を得るのは、データ基盤を含むデジタル基盤の課題を解決している企業でしょう。こうした企業は、アプリ、データ、インフラ間でシームレスな連携と自動化を実現し、潜在的なリスクを軽減するための強力なレジリエンシープログラムの導入もできます。

今回の調査結果によると、生成AIを最大限に活用するデータ戦略を実施するための準備が整っていると確信しているのは、経営層の5人に1人だけです。特に、データガバナンス協議会を設置している企業は、非常に自信を持っている可能性がはるかに高いです。

約25%が、自社のITインフラが全社的に生成AIの使用をサポートできると確信していると回答しています。4分の1は自信がない、またはまったく自信がないという回答でした。また、自信を持っているという企業は、 生成AIの優先事項 に関してIT部門と事業運営部門との連携ができていると回答している傾向も高いです。

一方で、自社のインフラに自信がない企業は、全社で生成AIを確立してサポートし、社内で利用するスキルに自信がないという傾向がはるかに高いことが分かりました。

質問: 生成AIを最大限に活用するためのデータ戦略の準備状況にどの程度自信がありますか。

質問: 貴社のITインフラが全社的な生成AIの使用をサポートできる自信はどの程度ありますか。 

質問: 貴社のエンタープライズアプリの開発と統合の機能をどのように評価しますか。 

質問: 貴社のエンタープライズセキュリティと脅威管理の機能をどのように評価しますか。 

 

経営陣の挑戦を後押しする変革へ

生成AIには大きな期待が寄せられており、今回の調査結果から、世界中の経営層が自社のために生成AIで何ができるかを知りたがっているということが数多く見えてきています。また、やるべきことがあることも示されています。技術的な観点から見ると、変革はまだ始まったばかりです。それでも、実現に向けた基盤構築への挑戦とその関心との間には大きなギャップがあります。

責任ある生成AIを大規模に展開するために、企業全体での組織体制から技術的機能の調整まで、基礎的な段取りを進める必要があります。 また、準備状況を継続的に評価していく必要もあります。生成AIの全社的な活用のための戦略とガバナンスは、策定して終わりではありません。事業の全体的な方向性との整合性を確保するために、定期的に見直す必要があります。

32%の回答者は、12か月以内に生成AIを全社的に展開する準備が整うと楽観的に予想していることが分かりました。

スケジュールは難題かもしれませんが、その勢いは否定できません

データの取得方法

外部の調査会社に委託し、大企業(従業員1,000人以上)の経営陣109人を対象にオンライン調査を実施しました。回答は2024年2月から3月にかけて収集されました。

回答者の属性

  • 52% 北米
  • 16% インド
  • 16% 日本
  • 16% 英国

業界別内訳

  • 26% 金融サービス
  • 28% 工業/製造業
  • 26% 小売
  • 20% その他