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TOA株式会社

グローバル経営を支えるSAP ERPの稼働にIBM Cloudの最新のマネージド・サービスを活用し、運用負担を大幅に軽減

業務用の音響・放送機器やセキュリティー機器を開発・提供するTOA株式会社(以下、TOA)は、世界各国の拠点で現地ニーズに最適な製品を開発・生産する“地産地消”型のビジネスを展開しながらグローバル経営を推進しています。 

ビジネス上の課題

  • 海外拠点における“地産地消”型のビジネスとグローバル経営の推進を両立させる
  • 海外拠点におけるシステム運用負担を軽減するために、基幹システムの運用を本社に集中させる
  • 顧客サービス向上や経営効率化に向けたデジタル・プラットフォームの整備に有用な環境を整える

ソリューション

  • SAP ERPにより、海外拠点で共通に利用する統合基幹システム基盤を構築
  • SAPのBASIS運用サービスまでがパッケージ化されたIBM Cloudのマネージド・サービスを活用
  • IBM Cloudの第2世代として大きく機能強化され、性能や信頼性が向上した東京データセンターに移行

結果

各国拠点のビジネスの独自性を保ちながらグローバルの経営ガバナンスを強化

本社による統合基幹システムの集中運用により各国拠点のシステム運用の負担を大幅に軽減

IBM Cloud東京データセンターへの移行により、デジタル活用のために最新のクラウド・サービスを利用できる環境が整い、インフラの性能も向上

“地産地消”と“グローバル経営強化”を両立するSAPマネージド・サービスを最新のIBM Cloudへ

TOAは1934年の創業以来、トランペットスピーカーやマイクロホンといった業務用の音響・放送機器、防犯/監視カメラなどのセキュリティー機器の分野でさまざまな製品を提供してきました。新型コロナウイルス感染症の拡大によりソーシャル・ディスタンスの重要性が高まる昨今は、公共空間における混雑緩和を促進するソリューションとしてネットワーク型カメラとAIを組み合わせた「滞在人数カウント」「通過人数カウント」といったサービスの提供にも力を入れています。新たな取り組みについて経営企画本部 情報システム部⻑の上田昭則氏は次のように話します。

『Smiles for the Public ─人々が笑顔になれる社会をつくる─』という理念の下、音と映像の両方を扱う当社だからこそできる社会貢献として、これらのソリューションにも磨きをかけているところです。例えば、2020年8月より神戸市営地下鉄三宮駅において、カメラとAIで混雑状況を自動認識して密状態を解消する経路を音声で案内するなど、AIの判定に基づいた放送で人々を誘導する実証実験を行っています」

また、顧客との関係強化や業務効率化に向けてデジタルプラットフォームの整備にも注力しており、取引先への製品情報の提供や受発注管理を行う「取引先ポータル」、機器設置先のユーザーに対してIoT技術を活用したリモート・メンテナンスや放送音声などのコンテンツ提供を行う「ユーザーポータル」の仕組み作りを進めています。

一方、国内で生産した製品の販売からスタートした海外展開は新たなステージに入り、近年は日本、アジアパシフィック、中国/東アジア、米国、欧州/中東/アフリカの各地域で個別にマーケティングを行い、現地のニーズに沿った商品を現地で開発・生産する“地産地消”の世界5地域戦略を推進しています。

ただし、商品企画から生産、販売までを現地で行うと、日本の本社から各地域のビジネスの状況を把握するのが難しくなります。そこで、TOAは各地域で個別に運用していた基幹システムをグローバルで統一したSAP ERPによる統合基幹システム(グローバル・マネジメント・システム:以下、GMS)をキンドリル(旧IBMインフラストラクチャーサービス)の支援のもとに構築し、その稼働インフラとして、SAPのBASIS運用サービスまでがパッケージ化された「IBM Cloud Managed Services for SAP Applications(以下、CMS4SAP)」を採用しました。同社は、 2015年初めよりアジア・パシフィック地域でCMS4SAPの利用を開始し、2019年3月に15カ国20拠点への展開を完了しました。約5年間にわたりCMS4SAPを利用してきた成果を、上田氏は次のように評価します。

「CMS4SAPにより、GMSは24時間365日安定して稼働してきました。また、各拠点はシステム運用の負担から解放され、障害などが発生した際は本社スタッフがキンドリルと連携して対処することでシステムの可用性も高まりました。さらに、CMS4SAPは内部統制に関する各種の認証や外部監査を受けており、基幹システムが信頼できる環境で運用されていることを自信を持って表明できるというガバナンス面の効果も感じています」 CMS4SAPは同サービスに特化したIBMの幕張データセンターで運用されていましたが、同社は最新のクラウド技術でデジタルプラットフォームの拡充を俊敏に進められる環境の必要性も感じていました。そこで、TOAは2020年、IBM Cloudの第2世代として東京リージョンのデータセンター(以下、東京データセンター)が機能強化され、パフォーマンスや安定性、信頼性も大きく向上したのを受け、上記課題の将来的な解決への期待も込めて同データセンターへの移行を決断します。

 

わずか3か月でSAP ERP環境を最新のIBM Cloud東京データセンターに移行

東京データセンターへの移行を決めたTOAは、まずサポート終了が迫っていたSAP ERPのデータベース、Microsoft SQL Server 2008を同2012にバージョンアップします。この作業をキンドリルの支援を受けて2019年1月から2月にかけて実施すると、次に同年7月よりデータセンター移行に向けた調査および計画策定を行います。実際の移行作業は8月より開始。開発環境、検証環境、本番環境の順にキンドリルが移行作業を行ってTOAがテストを実施し、新旧切り替えを行うといった流れで進め、3カ月後の11月に予定どおり移行作業を完了しました。東京データセンターへの移行後は、SAPのBASIS運用までカバーしつつ、インフラなどが大きく強化されたSAPマネージド・サービス「Applications Management for SAP Solutions on IBM Cloud (以下、当時名称のIC4SAP)」を利用しています。移行プロジェクトを主導した濱田 健太郎氏(経営企画本部 情報システム部 グローバルマネジメント推進課⻑)は、わずか3カ月の短期間で移行できた理由の1つはCMS4SAPを利用していたからだと説明します。

「SAP ERPのインフラ移行などに際してはサポートパッケージ(SP)の適用などが生じるケースが一般的ですが、当社はCMS4SAPを利用する中でBASIS運用サービスの一環としてキンドリルにSPを適用してもらっていました。そのため、純粋なマイグレーションとして実施できたことが短期間で移行できた理由の1つだと考えています」(濱田氏)

また、作業と進捗を管理したキンドリルのエキスパートの尽力により、プロジェクトにかかわったさまざまな企業、組織間の連携、特にキンドリルのグローバルチームやネットワーク事業部との連携に空隙が生じることなく間違いのない設計、実装が行えたことも濱田氏は高く評価します。

 

最新のIBM Cloudでさらなるデジタル活用に向けた環境を整備。SAP稼働インフラの性能も向上 

こうしてIBM Cloud東京データセンターのIC4SAPに移行した後も、TOAは引き続きGMSの安定稼働と各国拠点のシステム運用負担の軽減を実現しています。

「しっかりと予防措置をとっていただいているからだと思いますが、移行後も障害はほとんど発生していません。何か起きた際にはキンドリルが問題解決のためのチームを組んで当社と連携しながら速やかに対応していただけるので、トラブルなどのマイナス面で当社に作業負荷が生じることはありません。加えて、東京デ ータセンターへの移行によりインフラの性能が大きく向上し、パフォーマンス面のコスト・メリットを強く感じています」(濱田氏)

東京データセンターへの移行により、IBM Cloudの最新のサービスをIC4SAPとともに利用可能になったことも大きなメリットです。

「整備を進めている取引先ポータルやユーザーポータル、リモートメンテナンスの仕組みとの連携なども含め、デジタル・プラットフォームの将来構想に多くの選択肢ができました。同プラットフォームの上で進める業務プロセスの標準化や既存業務のデジタル化などでもIBM CloudのAIの活用などを検討していきたいですし、キンドリルにはこれからも情報提供や事例、活用法の紹介などでご協力いただけると期待しています」( 濱田氏)

また、東京データセンターへの移行により、各国拠点との接続に、IBM Cloudの高速かつ高品質なプライベートネットワークが無料で利用可能になったことも大きな利点だと言えます。

TOAは今後、IC4SAPで利用しているSAP ERPと本社の基幹システムで使っているSAP ERPに関して、SAP S/4 HANAへの移行を検討する計画です。後者についてはシステム要件などから他社のパブリック・クラウド(IaaS)を利用してきましたが、2020年9月にIBM Cloudの大阪リージョンが開設されたため、「神戸市の本社に近い大阪リージョンのデータセンターへの移行を有力な選択肢として検討を進めたいと思います」と上田氏は話します。  連結会計システムをはじめ、現在はオンプレミスで運用しているいくつかのシステムについても、インフラ更改などのタイミングでクラウドへの移行を考えているといいます。最後に上田氏は、「今後も世界におけるキンドリルのブランド力とネットワークを頼りにしていきたい」と強調します。

「キンドリルはハードウェアとソフトウェア、クラウド、AIなどの先進技術に加えてコンサルティング・サービスまで提供しているグローバル・カンパニーです。当社がガバナンスを効かせながらグローバルにIT活用を進めていく中で、今後も引き続きご支援いただきたいと思っています。」(上田氏)

世界各地の顧客の多様なニーズに独自の“音の価値”で応え続けるTOA。その活動を今後もキンドリルが支えていきます。

2021年10月

「キンドリルはハードウェアとソフトウェア、クラウド、AIなどの先進技術に加えてコンサルティング・サービスまで提供しているグローバル・カンパニーです。当社がガバナンスを効かせながらグローバルにIT活用を進めていく中で、今後も引き続きご支援いただきたいと思っています」
-  TOA株式会社 経営企画本部 情報システム部⻑
上田 昭則 氏
「しっかりと予防措置をとっていただいているからだと思いますが、移行後も障害はほとんど発生していません。 何か起きた際にはキンドリルが問題解決のためのチームを組んで当社と連携しながら速やかに対応していただけるので、トラブルなどのマイナス面で当社に作業負荷が生じることはありません」
-  TOA株式会社 経営企画本部 情報システム部 グローバルマネジメント推進課⻑
濱田 健太郎 氏
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