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シュナイダーエレクトリック

シュナイダーエレクトリックは、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど100か国以上でビジネスを展開するグローバルなエネルギー会社です。企業や個人向け住宅にサービスを提供し、エネルギーのサステナビリティを高めることをミッションにしています。シュナイダーは、このミッションを戦略的に推進するべく、過去10年間でデジタルファースト企業を40社以上買収しました。

2015年から進めているシュナイダーのITモダナイゼーションは、拡大した組織のあらゆる部分を、SAPプラットフォーム上に集約された共通のビジネスアプリケーションに統合しようとするものです。シュナイダーはクラウドファースト戦略の一環として、SAPプラットフォームを南フランスのコロケーションからパブリッククラウドであるAmazon Web Services(AWS)に移行しています。販売、プロビジョニング、サプライチェーン、財務のビジネスアプリケーションをクラウドで実行することにより、シュナイダーはアジャイルにその仕様を変更することができるようになります。

SAPインフラストラクチャー運用のグローバル責任者であるザビエル デプラット氏は、ITサービスの利用者としてビジネス目標を達成するために、SAPの運用をAWSに移行することを検討していました。ランニングコストの改善、技術的負債の解消、カーボンフットプリントの削減に加え、「AWSが提供するマルチリージョン、マルチゾーンのリソースおよびその他のサービスを通じて、SAP環境全体の耐障害性を高めたいと考えました。

また、クラウド移行により得られる柔軟性を活用し、ビジネスプロセスを進化させることも重要です。クラウドにより、テストシステムの構築やランドスケープの複製などをより俊敏に行うことができ、ビジネスにおけるランドスケープをより簡単に変更できるようになります。キンドリルは、当社がそれらのメリットを得られるよう支援しています」とザビエル氏は述べています。

 

両社を成功に導いたパートナーシップ

通常、大規模なクラウド移行において、シュナイダーのような規模を持つ企業の多くは、リスクの低いワークロードで1つ以上の概念実証を実行するなど、移行前に入念な準備を行います。しかし、ザビエル氏は、このようなテストを行わなくてもSAPプラットフォームをスムーズに移行できると確信していました。

ですが、ミッションクリティカルなシステムだけに非常に大胆な決断だったと言えます。

「SAPインスタンスが1つでも止まってしまうと、工場または流通拠点の業務がストップしてしまいます。そこで、シュナイダーの事業を深く理解するとともに、どのシステムが重要かを十分に把握し、リスクの管理と負担の軽減を支援できる、信頼性の高いパートナーと連携することにしました。その条件を満たしたのがキンドリルでした」とザビエル氏は言います。

キンドリルのチームは、シュナイダーのSAPを7年間運用してきた実績があり、かねてより戦略的な役割を担ってきました。キンドリルの最初のミッションは、SAPのアプリケーションランドスケープを従来の委託先からキンドリルのデータセンターに移行することでした。キンドリルは、移行全体の管理に加えて、ホスティングインフラストラクチャーの設計からSAPアプリケーション層にいたるまでITスタックの管理を担当しました。

移行後、キンドリルはすぐに安定稼働できる環境を整えました。移行期間中、シュナイダーはデジタルサービス事業を推進するために世界中で数多く企業を買収しました。キンドリルは、これらのERPオペレーションを統合し、買収した企業のビジネスを統合するための戦略的な役割となっていました。

その目的は、シュナイダーのSAPインフラストラクチャー運用に2年間の抑制期間を設けることで、大規模なインフラストラクチャーの変更によってビジネスオペレーションやアプリケーション関連のビジネスプロセス改善プロジェクトが中断されないようにすることです。

キンドリルは、99.999%の稼働率というSLAで継続的に高い可用性を提供することで、顧客のネット・プロモーター・スコア(NPS)を5.6から10まで引き上げることに成功しました。さらにキンドリルは、管理を合理化するAIOpsイノベーションやシュナイダーの事業を熟知した専門チームの設立など、数多くの効率改善策を提案しました。また、この期間はクラウドの計画を立てる時間でもありました。

12のSAPランドスケープの内8つは、ビジネスを 止めることなくAWSに移行完了

買収した40社を一元化したSAP運用に統合し、継続的なビジネス成長を支援

それぞれの移行を48時間以内に行うことで、ビジネス中断のリスクを週末だけに留める

「AWS移行のパートナーとしてキンドリルを選定したのは間違いではありませんでした。私たちは、連携しているチームをよく理解していますし、キンドリルのすべての活動について信頼を寄せています。キンドリルの対応は非常にフレキシブルだったと感じています」

ザビエル デプラ氏
シュナイダーエレクトリック
グローバルSAP インフラストラクチャー運用担当責任者

ミッション #1:絶対にビジネスを止めない

SAPのAWS移行におけるザビエル氏の最優先事項は、ビジネスを止めないことです。キンドリルがAWSに対する豊富な知見を持っており、シュナイダーのミッションクリティカルシステムとビジネスを熟知していたことから、ザビエル氏は、テスト、開発、生産のインスタンスを直接AWSに移行する計画が成功すると確信していました。

「私たちは一種のハイブリッドモードを維持できるようなアプローチを導入しました。クラウドへの移行期間中、事業プロジェクトを進めるために、ホスティングデータセンターでは既存のランドスケープを並行稼働させていました。それぞれのシステムが異なっているからこそ、稼働開始の計画立案には非常に苦労しました」とザビエル氏は説明します。

さらに、各ランドスケープの移行は、48時間以内で行う必要がありました。これを実現するためには、徹底的な準備とテストが必要でした。テストの実施により時間が長すぎると判断された場合、キンドリルのチームが、データ移行方法を見直し、限られた時間で確実に移行できるように調整する必要があります。

 

マルチエンタープライズチームによるオーケストレーション

シュナイダーにおける計画立案のファーストステップは、組織の継続的な事業運営を支援するオペレーションモデルを定義することでした。誰が何を担当するかを明確にすることが、移行計画において重要な要素になります。

「成熟したミッションクリティカルなアプリケーションインフラストラクチャーをクラウドに移行する場合、AWS環境におけるインフラストラクチャー設計が複雑化してしまいます。そのため、新しいモデルの設計だけでなく、実装の設計にも時間を費やす必要がありました」とザビエル氏は指摘します。

シュナイダーの社内チームは、ファイアウォール、接続性、セキュリティグループに関する厳格なルールを備えた、高度なセキュリティ環境であるAWSランディングゾーンの設計と構築を行いました。新しい運用環境を設計するにあたり、キンドリルは、顧客のSLAと運用要件を対象の運用ソリューションに構造的にマッピングし、クラウド運用向けのフレームワークを活用しました。このフレームワークには、キンドリルの知的財産である資産、アクセラレーター、およびリファレンスモデルなどが含まれています。このフレームワークは、設計と移行プロセスをスムーズに実行するのに役立ちました。

キンドリルは、AWSとシュナイダーの技術チームがランディングゾーンに新しいインフラストラクチャーをプロビジョニングするための支援を行いました。各SAPランドスケープをAWSに移行するには、パートナー3社が接続性を慎重に調整する必要があります。移行後、キンドリルはAWS上でSAPランドスケープを管理しています。

プラットフォームのアプリケーション管理については、全社のIT管理を行うシュナイダー・デジタルのデリバリー部門が担当しています。なお、SAPアプリケーションの管理は、外部パートナーが担当しています。もちろん、必要に応じてテストを実行する主要なビジネスユーザーのコミュニティも存在します。

「これらエコシステムをすべて適切に管理し、各パーツが時間通りに実行できるようにする必要があります。それは、インフラストラクチャーや技術コンポーネントの要素よりもはるかに困難なことです。当初、多少の混乱はあったものの、モデルに合意し、実行に移った段階になると、その後はスムーズに進行できました。このことから、キンドリルをパートナーに選定したのは正解だったと感じています。キンドリルは、すべてのサービスをスケジュール通りに納品するだけでなく、難しい課題を解決するために非常に柔軟に動いてくれました」とザビエル氏は話します。

 

次なるステップはクラウドネイティブ化

今後は、クラウドネイティブの方針に基づいてSAP環境を管理しようとしています。移行は主に「リフト& シフト」モデルだったため、現在はオンプレミス環境で管理されているとザビエル氏は言います。

「プロビジョニングを適切な規模に調整し、コスト改善を実現できるアイデアがあります。これは、TCO(総所有コスト)改善を実際に達成するための次なるステップの1つです」(ザビエル氏)

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