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RSAインシュアランス

大規模なデータ移行により、保険業界におけるデジタル戦略とクラウド戦略を推進

RSA Insurance は、世界で最も歴史のある総合保険会社の1つであり、個人、企業問わず、あらゆる規模のお客様に保険商品とサービスを提供しています。 RSAで稼働しているメインフレームとシステムは、約450万件におよぶ保険証券を扱っていました。

ビジネス課題

メインフレームのOSとソフトウェアのほとんどがサポート終了(EOS)を迎えており、レガシーなテクノロジーに依存せざるを得ない状況でした。 また、デジタルファースト戦略とクラウドファースト戦略を進めるためにも、重大なITリスクの軽減に取り組まなければなりませんでした。 これらを実現するためには、堅牢性とセキュリティーに優れたクラウドアーキテクチャーにインフラストラクチャー、ソフトウェア、メインフレームのデータを移行させる必要がありました。

トランスフォーメーション

今回のクラウド移行は、ITインフラストラクチャーのモダナイゼーションを達成するというゴールに向けた、重要な要素として位置付けられています。 そこでキンドリルは、IBM Z向けマネージド拡張クラウドIaaSをベースにした独自のハイブリッドソリューションを活用し、RSAのモダナイゼーションとトランスフォーメーションを支援しました。 これにより、スマート・テクノロジーの活用が可能となり、同社が誇る業界最高水準のアナリスト向け保険数理モデルを作成・自動化できるようになりました。 また、クラウド移行により固定費モデルからサブスクリプションモデルに変更したことで、 大幅なコスト削減が実現し、容易なコスト予測と将来の成長に向けた柔軟性の獲得を実現しました。

結果

プロジェクト期間中に5,500以上のテストケースを実施

10,000近くの論理ボリュームのデータ移行を実現

約30%のパフォーマンス向上を確認

プロジェクトの背景とチームのゴール

毎週4,000以上のファイルを他のアプリケーション環境に送信するなど、RSAにとってメインフレームは重要なシステムの1つになっています。 1969年に稼働を開始した最初のメインフレームコンピュータは、512,000のRAMにIBM360/65および、パンチカードとフラットファイルを搭載していました。

プロジェクトチームの主な目的は、3つのメインフレーム環境をIBM Z向けマネージド拡張クラウド・インフラストラクチャー(zCloud)に移行することでした。 データは11個のLPAR(論理パーティション)、10,000個の論理ボリュームにおよぶ85テラバイトもの物理ディスクデータ、25,000個の仮想テープにおよぶ85テラバイトものテープデータで構成されていました。

そのためRSAでは、デジタル機能とクラウドの移行によってもたらされる重要なメリットだけでなく、レガシーシステムの大規模移行プロジェクトを実行するうえでの難しさも理解していました。 この課題を解決するには、専門的な技術知識と綿密な計画、優れたチームワークと徹底した管理が必要になります。 加えて2020年のパンデミックがあったことから、RSAは、ITトランスフォーメーションプロジェクトを成功させるために、キンドリル(当時のIBMインフラストラクチャーサービス) をパートナーとして選定しました。

特有の課題

パンデミックによって、チームメンバーと直接会うことができなくなり、 日程変更が許されないなかで、複雑なプロジェクトを実行するのは難しい状況でした。 12のメインフレーム技術機能、数千ものテストケース、計6社のパートナーおよびベンダーの関係者がプロジェクトに参加するなか、従業員、顧客、ビジネスへの影響を最小限に抑えながら、限られた時間で移行しなければなりませんでした。

これに対応するために、移行に先立ちプロジェクトチームが数百もの冗長ソフトウェアのインスタンスを削除、交換し、ドライラン(予行練習)を2回実施しました。 最初のドライランは、LPARが正常に移行でき、すべてのシステムがzCloudに正常にデプロイできるか証明することを目的とし、 2回目は、ソフトウェアのインターフェイスなどの微調整やアプリケーションのテストも追加されました。 最終的にプロジェクトチームが複数の戦略的パートナーの各チームを管理、調整したことで、RSAの事業運営に悪影響を与えることなく、プロジェクトを予定より早く完了させられました。

プロジェクト成功の要因には、スムーズなナレッジトランスファー(業務知識の引き継ぎ)もあります。 移行完了後に運用を担当するチームが自力で運用できるように、録画付きの講義形式セッションやマンツーマンのセッション合わせて120を超えるバーチャルセッションが行われました。

物理的な作業方法など解決すべき問題が多数あったうえに、6か月という短い期間での移行作業の中で最も想定外だったことの一つには、非常に重要な移行作業 (ロンドンの交通網に例えれば、A24という国内の大都市をつなぐ主要な道路の接続部分の交換にあたるようなもの)をわずか2週間で完遂させなければならなかったことなどもありました。

 

ITイノベーションで競争力を強化

RSAは、ITモダナイゼーションによってサービス提供コスト、機能性、および全社的な予測可能性を向上させることを目指しています。 金融・保険市場のデジタル化が進む中、RSAは、クラウド移行で機能を革新し、将来的なビジネストレンドに向けた備えとして、柔軟性の高いアーキテクチャーを構築できました。

クラウド移行で得られたビジネス機会についてAkhlas Hafiz氏は、次のように説明します。

「 当社では、長期間にわたってIT投資を最大化する方法を模索しています。 UX(ユーザーエクスペリエンス)の観点からデジタルを捉えるとともに、クラウドをビジネス資産として収益化しています。また、業界トレンドでもあるAI(人工知能)・ML(機械学習)をより効率的に活用すべく、アーキテクチャーに求められる俊敏性を高めていけたらと考えています。」
 

データ、アプリケーション、IT環境を保護

キンドリルでは、zCloudへのLPAR移行やソフトウェアのクリーニングとアップデートに加え、RSAの大容量ネットワーク接続の実装を支援しました。 複数のサプライヤーと各地域、キンドリルのデータセンター内のテクノロジーが、ネットワークで容易に相互接続できるように設計されています。

キンドリルがRSAに提供したzCloudソリューションは、プライマリーおよびバックアップデータセンター向けに安全性が担保されています。また、大容量、高可用性のマルチテナント型メインフレーム環境において、スケールメリットを確保できるよう構築されています。 RSAのソリューションは、一般データ保護規則(GDPR)に準拠しており、テープ、処理データなど、ネットワーク全体にわたってエンドツーエンドの暗号化をサポートしています。

「 これらのデータセンターの利点は、高可用性とセキュリティーが充実していることであり、 最高レベルのセキュリティーを提供するために作成されたLPARモデルを運用することができます。 これらはすべて、RSA向けにカスタマイズされたソリューションに欠かせないものであり、 データやアプリケーション、テスト環境や本番環境の保護に対応したサブシステム分離も含まれています。」

—Shahira Brennan氏
クライアント・パートナー担当エグゼクティブ
キンドリル
 

今後の展望

RSAは、イノベーション促進戦略の一環として、今後もモダナイゼーションの取り組みを続けていく予定です。 キンドリルの役割は、自社の豊富な実績と経験に基づき信頼できるアドバイザーとして、 RSAや世界中の何千ものクライアントが日々活用している重要なシステムを安定稼働させることです。 キンドリルは、ハイブリッドクラウドやマネージド・プライベートクラウドの導入/移行支援、データセンターにおけるDR対策(災害復旧)を実現するマネージドインフラストラクチャーをas-a-serviceの形で提供しています。 また、オンプレミスやクラウド、シングルおよびマルチテナントのインフラストラクチャーをオプションとして揃えており、メインフレームからx86コンピューティングまで完全なインフラストラクチャー・スタックをすべてハイブリッドクラウド上で展開しています。

RSAインシュアランスは、ハイブリッドマルチクラウド環境やデータセンター・テクノロジー、サプライヤーやビジネス戦略など、様々な状況を加味したうえで最善の組み合わせを提案できる知識、スキルを備えたパートナーとしてキンドリルを捉えています。そのため、協業を通して期待する結果を得られると確信していました。

2022年3月

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