ビジネスを成長させながら地球環境を守る
ネット通販の普及に伴い、ラストワンマイル配送用パッケージの需要も年々高まっています。このビジネスチャンスを逃さず、なおかつ自社のサステナビリティの目標を達成したいとモンディグループは考えていました。
そこで同社は、キンドリルに所属するインフラストラクチャーのエキスパートに、次世代ERPであるSAP S/4HANAに適した、堅牢で高性能なプラットフォームの構築を依頼。
キンドリルが管理、保守する同ソリューションにより、モンディグループは、取引が増加しても高い業務効率を維持しながら、サステナビリティの目標も達成できました。
データを使用したグローバルオペレーション
毎年、何百万人もの消費者がインターネットで買い物をするため、ラストワンマイル配送用の使い捨てパッケージの消費量が世界中で急増しています。
大手包装メーカーであるモンディグループにとっては、環境保護とサステナビリティの実現は最優先事項と言えます。「モンディアクションプラン 2030 (以下、MAP2030)」は、同社の気候変動対策を実現するための重要な要素です。
MAP2030には、生産時の無駄を最小限に抑えつつ、業務を合理化し、効率的なロジスティクスの実現を目指すという目標があります。
世界中の事業の統合を強化し、MAP2030の達成に向けた意思決定を実行するために、同社はSAPソリューションとインフラストラクチャーのエキスパートであるキンドリルへ依頼することにしました。
同社のCIOであるRainer Steffl氏は、次のように述べています。
「キンドリルとの協業により、15カ国に点在する40もの工場を、最先端のSAP S/4HANAプラットフォームに移行できました。このプロジェクトはまだ始まったばかりですが、エンドユーザーのアプリケーションのパフォーマンスはすでに20%向上しており、社員はより効率的に業務を遂行できています。キンドリルは、SAP S/4HANAの新しい分析ワークロードをサポートするパートナーであり、将来における運用効率とサステナビリティを高めてくれるでしょう」
より良い世界への貢献
何十年もの間、モンディグループが世界中の製造、サプライチェーンのプロセスをサステナブルな方法で管理する上で、デジタル技術は重要な役割を果たしてきました。
「未来の世代のためにより良い世界を築くよう努力しています。MAP2030には、2025年までに製品の100%を再利用、リサイクル、堆肥化可能にするなどの項目が含まれています。
工場を最適な方法で運営し、MAP2030を達成するためにデータ活用は重要です。たとえば、製造プラントでは、センサーを使用して廃水処理プロセスを監視し、高い環境基準を維持しています」(Steffl氏)
これらのデータから得られるインサイトを収集、測定、実行するためにも、SAPは同社にとって重要なプラットフォームと言えます。
次世代ERPであるSAP S/4HANAを導入したことで、同社は意思決定プロセスにおいてより深い分析を組み込むようになりました。特に、SAP S/4HANAから得られるリアルタイムのインサイトが、重要なワークフローの計測と自動化に役立ち、業務効率をさらに高められることに気付いたと言います。
「SAP S/4HANAは、当社が掲げるサステナビリティの目標を達成する最適な基盤だと確信しています。当社は、この移行プロジェクトを支援してくれるパートナーを探していました」(Steffl氏)
信頼できるプラットフォームの選択
SAPはグループ全体のミッションクリティカルなプラットフォームであるため、モンディグループは、世界中のビジネスユーザーが24時間365日ソリューションを使えるようにする必要があります。
同社は長年にわたり、キンドリル(元IBM®インフラストラクチャーサービス)のインフラストラクチャーのエキスパートを信頼し、キンドリルはSAP環境のレジリエントなシステムやストレージ、ネットワーク機能を提供してきました。
「当社のほぼ全ての業務がSAPシステムに依存しているため、万が一生産環境に何らかの問題が生じた場合、数時間のうちに何台ものトラックが工場の門前で立ち往生するでしょう」(Steffl氏)
Rainer Steffl氏は、キンドリルを採用することになった理由を、以下のように明かします。
「これまで10年以上にわたりSAPシステムのサポートをキンドリルのマネージドサービスに任せてきましたが、期待通りの働きをしています。そのため、当社は新たなSAP S/4HANA環境への移行に、キンドリルの力を借りることに決めました」
SAP S/4HANAへの移行に際して、事業を継続することは、同社にとって不可欠な要素でした。
新しいSAPソリューションに高い性能や信頼性、可用性を提供しながら、ダウンタイムなしで移行を完了させるために、キンドリルは「IBM PowerSystems™サーバー」と低遅延の「IBM FlashSystem® 7200ストレージ」をベースにした高性能なプラットフォームを設計。
「キンドリルの提案するアーキテクチャーが、ビジネス価値を最大限引き出すのに役立つと信じていました」とSteffl氏は語ります。
クラウドでの拡張性を確保
デジタル・トランスフォーメーション・イニシアチブの第一段階の成功を受け、モンディグループはグローバルなビジネス・ユニットをSAP S/4HANAに移行する準備を進めています。
最先端のデジタル技術の基盤を築くとともに、MAP2030の達成に向けて、現在はSAP S/4HANAの機能を、同社のワークフローに組み込む方法を模索しています。
Rainer Steff氏は、以下のように語ります。
「SAP S/4HANAは倉庫の在庫レベルをリアルタイムに把握できる上、生産スケジュールと物流業務をさらに細分化できます。また、『SAP Fioriモバイルアプリ』を使って、重要なインサイトをマネージャーがすぐ利用でき、迅速な意思決定に役立てられます」
同社は現在、キンドリルと協力して、「Red Hat® OpenShift」の活用を検討しています。このソリューションは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドにおけるSAPワークロードのスケーラビリティとポータビリティを強化できます。
「当社は現在、Red Hat OpenShiftを試用しています。これは、ベンダーロックインのリスクを回避しながら、クラウドのメリットを享受できる優れたテクノロジーです。コンテナ化されたワークロードをクラウド・プロバイダー間、またはオンプレミスプラットフォーム間でシームレスに移行でき、長期的な視点で環境を最適化してコスト効率を確保できます」(Steffl氏)
長期的なパートナーシップ
SAP S/4HANAへのシームレスな移行のために、キンドリルは、モンディグループのIBMサーバーをベースにした高性能なプラットフォームの構築をサポートしました。
キンドリルは、モンディグループのSAP環境を管理・運用し、「IBM Cloud® Backup」で定期的にバックアップしています。
「キンドリルは業務を進めるために、必要なグローバルリソースを提供してくれました。キンドリルは非常に迅速に対応してくれるので、契約の変更やエスカレーションを待つ必要はありません。SAP S/4HANAへの移行を次の段階へ進めるにあたり、緊密なパートナーシップを継続したいと思っています」(Steffl氏)
プロジェクト中に新型コロナウイルスのパンデミックが発生したものの、キンドリル、SAP、モンディグループは協力して作業をスピーディーに進めました。そのため、生産システムに影響を与えることなく、グローバル・パッケージング事業を、わずか8カ月でSAP S/4HANAに移行できました。
「志を同じくするサステナブルなパートナーを高く評価しています。当社のグローバルビジネスをキンドリルが管理・保守するSAP S/4HANAに移行することで、サステナビリティの目標の実現に必要なデータに基づいて考察できます」(Steffl氏)
2021年10月