顧客からの要望でSaaSモデルの移行を検討
シムコープは、投資運用企業に高品質のソフトウェアを提供することを目的として、1971年に設立されました。現在では、世界中の顧客が同社の主力製品であるSimCorp Dimensionを利用して投資ポートフォリオを管理しています。しかし、近年同社の幹部は、顧客から寄せられる従来のソフトウェアモデルからSaaSモデルへの移行への要望の高まりを感じ、その対応を開始していました。
同社がこのアイデアに興味を抱いた理由はいくつかあります。まず、SaaSモデルに移行することで顧客に対して包括的なアプリケーション管理ソリューションを提供できるようになることです。また、大規模でコストのかかるオンプレミスのソフトウェアソリューションの代替手段を提供することで、同社は新しいカテゴリーの顧客、つまり、ITスタックを自社で管理できるリソースを持っていない中小企業にアピールできるようになると考えました。
ただし、この新たなソフトウェア提供モデルを成功させるには、コンプライアンスと可用性の両方を考慮した設計が必要です。 金融業界はセキュリティーに非常に厳格であり、同社とその顧客にとって、業務のすべてが現状の規制に確実に準拠していることが必要です。顧客の多くは毎日当局にデータを配信する必要があるため、可用性も重要です。また、顧客は世界中に広がっていることから、ダウンタイムを最小限に抑えなければなりません。
パートナーシップを構築
SimCorp Dimensionをサービスとして、すなわち「SimCorp Dimension as a Service」を提供することを決定した シムコープは、ソリューションに適切なインフラストラクチャーとサービスを提供できるテクノロジー企業の協力を求めました。 同社 グローバル・オペレーション・マネージャー Pernille Kjærgaard Dahlberg氏は、チームが取った方法についてこう説明します。
「ベンダーとクライアントの関係ではなく、パートナーシップを持つことが重要だと考えました。パートナーシップは同じことを望むからです。キンドリルを選んだのは、マネージドインフラストラクチャーの提供に非常に優れていたからです。これによって、当社はアプリケーションとビジネスへさらに注力できるようになります」
キンドリルとシムコープはタッグを組み、標準化・自動化されたフル・マネージドなサービスを共同で設計し、数カ月かけてビジョンを構築しました。その結果としてシムコープは、IBM Cloud®上でフルマネージドなアプリケーションとしてSimCorp Dimension as a Serviceというソリューションを提供できるようになりました。このソリューションには、IBM Cloud for VMware Solutionsのほか、IBM Cloudプラットフォーム上にOracle、Citrix、Zertoなどのフル・マネージドなITスタックを備えています。安全なデータ要素は、アムステルダム、フランクフルト、ワシントン、ダラスのデータセンターにホスティングされており、災害発生時の迅速な復旧のためにミラーリングも行っています。
現在、このソリューションは、顧客の増加に対しても問題なく機能しています。シムコープとキンドリルは、SimCorp Dimension as a Serviceの新しい顧客をスムーズに取り込むことができています。
「キンドリルと連携することで得られるメリットの1つは、IaaS上から非常に高速な実装・配信ができることです。キンドリルが適切に実装したプロセスのフレームワークがあり、これにより、毎回同じ方法でサービスを提供できます」(Dahlberg氏)
SimCorp Dimension as a Serviceでは、新たに顧客の契約があってもその都度、インフラストラクチャーや拡張可能性、コンプライアンス、セキュリティーについて考えることなく、ソフトウェアを使用できるようになります。シムコープ 製品部門担当バイスプレジデントのChristoffer de Maré氏は、「当社ではビジネスのしやすさを追求し、お客様にはセルフサービスのポータルを利用できるようにして可能な限りの自動化を考えています。お客様のためにできることを惜しまないのが我々の姿勢です。」