グループ一体で事業を推進
パフォーマンス・イン・ライティングは、リテール、オフィス、工業用建物など、幅広い用途向けの屋内外照明器具を設計、製造、販売しています。しかし、同業界は競争が激化し、その利益率も厳しいものだったといいます。
イタリアでの成長が鈍化する中で同社は、業績を長期的に維持することが課題でした。そこで必要になったのが政府機関や建設会社からの大規模な照明プロジェクト案件の獲得です。同社CIOのMaria Gutierrez氏はこう振り返ります。
「これまで、当社グループ内の各企業は、販売、生産計画、資材管理などのコアプロセスを推進する際、各社独自のプロセスとシステムに依存していました。この手法は、グループレベルとなると、大きなプロジェクトの入札の際にリソースを統合することが困難でした」
エンドツーエンドの統合を目指す
パフォーマンス・イン・ライティングは、4つの製造拠点と3つのグループ会社を擁し、ヨーロッパでは大きな存在です。各社は、それぞれ独自に業務をこなしていましたが、そのプロセスは、人の手作業によるスプレッドシートに依存するものでした。
「グループレベルでは、数年前からSAP ERPアプリケーションで会計と連結業務を行っていたため、SAPによるデジタルワークフローがもたらす効率と迅速性についてはすでに理解していました。そこで契約獲得や競争をより優位に運ぶために、すべてのグループ会社にSAPプラットフォームを導入することにしたのです。手作業ゆえにスピード感が遅かった従来の業務を刷新し、より迅速で効率的なデジタルワークフローに置き換えられることを期待しました」(Gutierrez氏)
同社は当初、SAP ERPアプリケーションをキンドリルが提供するIBM Cloudインフラストラクチャーサービス上に展開していました。同社は、人的リソースに余裕がない中でも、自社のITチームが新しいデジタル変革を主導できるよう、新しいアプローチを採用しました。
「SAP ERP環境を管理しながら、同時にグループ内の他の企業に同ソリューションを拡張するリソースはありませんでした。時間のかかる手作業からITチームを解放するためにも、フルマネージドのソリューションに着目したのです」(Gutierrez氏)
効果的なパートナーシップを確信
パフォーマンス・イン・ライティングは、これまでの経験からSAP ERPソリューションを稼働させているIBM Cloudを評価しており、そうした背景もあってキンドリルのフル・マネージド・クラウド・サービスに移行することを決定しました。
「キンドリルとパートナーシップを組んだことで、同社が弊社のビジネスを理解し、我々が目指す目標に向けて支援してくれるという確信を得られました」とGutierrez氏は指摘します。
「キンドリルを選んだ理由は、端的にいえば信頼です。クラウド分野のリーダーとしてのキンドリルの評判には長い間感銘を受けていました。また私たちが協力してきたキンドリルチームは常に知識が豊富で、わずかな努力も惜しまずサポートいただいています」(Gutierrez氏)
キンドリルは、パフォーマンス・イン・ライティングと協力して、「SAP Applications Management on IBM Cloud」への移行を効率的にできるよう進めました。キンドリルのチームは、新たなクラウドプラットフォームへの移行を支援し、すべての子会社にSAP ERPソリューションを展開する支援を行いました。
「キンドリルは安心して任せられる会社だと感じました。データ転送および稼働中のSAP ERPデータの可用性、セキュリティー、および安全性を担保する導入計画を提示していただけました。また、この移行プロセス全体を通じて、透明性が高く、わかりやすいコミュニケーションをとってくれたことにも感謝しています」(Gutierrez氏)
フル・マネージド・ソリューションによる安心感
パフォーマンス・イン・ライティングは、キンドリルと協力して、SAP Applications Management on IBM Cloudへの移行を時間どおりにダウンタイムなしで完了しました。 IBM Cloudのセカンダリー・インスタンスへのレプリケーションによって、災害復旧の機能も強化しています。
「私たちが目標としていたのは、専門家の手に委ねることであり、まさにキンドリルの協力によって達成しました。当社のSAP ERPソリューションはミッション・クリティカルであり、計画外のダウンタイムは許容できません。キンドリルは、データ移行、テスト、新たなプラットフォームの導入など、プロジェクトのすべての段階でSAP ERPサービスの可用性を保証できる透明性の高い方法を提供してくれました」(Gutierrez氏)
同社は、キンドリルと協力してSAP ERPを構築して、電子請求に関する新たなビジネス要件もサポートしています。これに関して、Gutierrez氏は次のように説明します。
「政府の新しい規制により、イタリアの企業は電子請求書が義務化されました。キンドリルの協力によって、SAP ERPで電子請求機能を簡単に利用できるようになり、コンプライアンス確保も実現しています。フル・マネージド・クラウドを利用しているので、電子請求書のコンポーネントに関する継続的な管理やメンテナンスを行う必要はありません。まさに『設定したらあとはお任せ』の状態を実現しています」
改革のための時間を創出
こうしてパフォーマンス・イン・ライティングでは、ITチームはソリューションのメンテナンスという日常業務から解放され、デジタル変革に集中できるようになりました。
「キンドリルのおかげで、SAP ERPアプリケーションをSAP Applications Management on IBM Cloudに移行できました。マネージドIBM Cloudソリューションの拡張性は高く、グループ全体の各ワークフローを統一されたSAP ERPプラットフォームへ一元化し、標準化できるようになりました。さらに、システム管理が不要になり、ビジネスを前進させるためのコアとなるインサイトを育むことに集中できます」(Gutierrez氏)
成長に向けた好機
Gutierrez氏はさらに説明を続けます。
「SAP Applications Management on IBM Cloudを導入して時間を創出できていなければ、今日行っている業務を行う余力は確保できていなかったと思います。現在はマスターデータ管理のプロジェクトに取り組んでいます。これによってSAP ERPは製造、生産計画、販売、および顧客関係管理の全データを記録する単一のシステムになります。
このプロジェクトが完了すれば、当グループのすべての企業をSAPプラットフォーム上に乗せるために必要な基盤が得られることになります。プロセスを統合し、当社の各国での運営についての単一で正確なビューを意思決定者に対して提供できるようになります。これがあれば、大規模な建設プロジェクトの入札など、高い価値が期待できる案件の際に、事業のあらゆるリソースを集結させられる強力な体制を構築できます」
将来的に、同社は意思決定を加速するためにSAP HANAのインメモリ分析に関心を示しています。
「SAP HANAは、我々の長期的なロードマップに含まれています。SAP Applications Management on IBM Cloudがあれば、しかるべき時期が来たときに新しいプラットフォームへより簡単に移行できるでしょう」とGutierrez氏は結論付けています。
「キンドリルの協力によってSAP Applications Management on IBM Cloudに移行できました。IBM Cloud上の災害復旧ソリューションによって、データは24時間年中無休で保護されており、大きな安心感につながっています。 重要なのは、リソースが十分でない弊社ITチームが自由にデジタル・トランスフォーメーションに集中できることです。つまり、より競争力のある、アジャイルなビジネスのための基盤を築くことです」(Gutierrez氏)
2021年10月