電力の安定供給のためにも必須となるのが、その事業を支えているさまざまなシステムの保守運用業務の高度化です。
四国電力ではERPを中心とする基幹系や従業員の日常業務を支える情報系のほか、四国地域200万世帯の暮らしを支える電気の託送管理や顧客管理など、数百にのぼる重要なシステムをグループ会社のSTNetと連携して保守運用しています。
しかし、そこでは将来を見据えた課題が顕在化しはじめていました。四国電力 情報システム部 セキュリティ統括・管理グループリーダーの村上 祐之氏は次のように語ります。
「保守運用の担当者は多くのシステムで長期間異動がないため、障害発生時の対応も特定の人に依存しやすい状況でした。現時点では大きな支障なく保守運用業務が回っていますが、中長期的には担当者の退職等による人材不足が懸念されています」(村上氏)
さらに、セキュリティ統括・管理グループ 副リーダーの筒井 康人氏はこのように続けます。
「電力自由化等の電力システム改革に対応するため、当社のシステムは複雑化しており、この10年ほどで規模が倍以上に膨らんだものもあります。また、他の多くの事業者とのシステム接続が必要となるため、24時間365日の無停止稼働が求められるシステムも増えており、休日や夜間を問わず障害対応にあたらなければならない担当者の精神的な負担は大きく、人手のみに頼った運用保守業務は限界に達しつつありました」
保守運用業務の主担当者はシステムごとにほぼ固定されています。担当者の高齢化も進んでいくため、今後の人材不足が懸念されており、特定の人に依存することなく業務を効率的に遂行できる仕組みを構築する必要がありました。
アラートやエラーメッセージはシステムごとに上がってくるため、状況を把握するのに時間がかかっていました。運用データを一元的に可視化することで、この課題を解決したいと考えました。
運用データは、複数のITインフラやアプリケーションに散在しているため、課題解決は容易ではありません。根本的な業務の見直しから、共にPoCに臨んでくれるパートナーを探しました。
キンドリルは、現場の負荷の高さに対して共感を持ち、実際の業務で予想される問題に対しても十分な想定をしながらプロジェクトを進行してくれました。教科書通りのコンサルティングではない、自分たちで経験しているからこそできる現実的なアドバイスを受けることができ、プロジェクトの進め方も非常に参考になりました。
保守運用業務から属人性が排除され、手順の標準化・平準化がある程度進んだあかつきには、さらにデータドリブンな運用を推進していく観点から、障害復旧対応の自動化や予知保全といったテーマにも取り組んでいきたいと思っています