グローバルのアプリケーション、データ&AIのプラクティスリーダー、マイケル・ブラッドショー

 

2025年が近づくにつれ、多くのビジネスリーダーは、この1年間の成果を振り返り、改善すべき領域を特定し、新たな目標を設定することになります。また、ますます複雑化するデジタル環境に対応しながら、実施すべき組織改革や、資金や人材の割り当て、目標を実現するための具体的なステップの決定などについても検討することになるでしょう。

人工知能(AI)のような最新テクノロジーを導入したり、新しいシステムを採用したりすることは魅力的ですが、デジタルファーストの世界で成功するための簡単な解決策はありません。実際、AIに投資している経営幹部のうちの42%のみが、トータルとしてのプラス利益を報告しています。つまり、デジタル対応は単に新しいテクノロジーを採用するだけでは不十分です。デジタル対応には、モダナイゼーションに重点的に取り組み、イノベーションを推進し、リスクを軽減できる強固な基盤を構築することが求められています。

 

2025年に企業を成功させるためにビジネスリーダーが実行できる4つのステップ

 

1. モダナイゼーションを優先する

Kyndryl Readiness Reportによると、94%のリーダーがテクノロジーモダナイゼーションを優先している一方で、自社がこの分野で業界をリードしていると感じているリーダーはわずか29%でした。 このギャップによって、ITモダナイゼーションにおいて企業が直面する複雑さと、優先順位付けの難しさが明らかになっています。
モダナイゼーションは一度だけで完了する取り組みではありません。企業が外部要因によって混乱をきたさないよう、優先的に取り組むべき継続的なプロセスなのです。企業がモダナイゼーションの戦略を決定した後は、全力で取り組み、全員に責任を持たせる必要があります。
また、SAP S/4HANAへの移行の期限が迫っているため、企業は新しい機能を活用し、安全でコンプライアンスに準拠したオペレーティングエコシステムを確保するために、ITインフラのモダナイゼーションを優先させる必要があります。

 

2. 技術的負債に対処する

快適さは進歩の敵であるという考えはよく知られていますが、それはテクノロジーにおいても当てはまります。時代遅れのシステムに慣れ親しんでいると、企業の進歩を妨げる可能性があります。また、重要なITインフラストラクチャーの44%が寿命に近づいているか寿命を迎えているため、イノベーションや市場に対応する能力について直接的な影響を及ぼす可能性があります。そのため、技術的負債に対処することはモダナイゼーションに不可欠であり、IT変革の成功にもつながります。技術的負債に積極的に取り組むことで、企業はIT環境の将来的な安全を実現し、時代遅れのテクノロジーに頼るという落とし穴を回避できるのです。

 

3. 企業文化とテクノロジーの両方の変革を重視する

IT変革には、特定のスキルと専門知識、そして企業文化の転換が必須であり、リーダーシップチーム全体が同じ目標、戦略、期限、リソースに集中する必要があります。Kyndryl Readiness Reportによると、リーダーの42%がテクノロジーに関するスキルギャップが妨げになっていると回答しており、28%がデジタルソリューションの導入に従業員のトレーニングが追いついていないと回答しています。つまり、現代のデジタル環境への対処が困難であるからこそ、企業文化の転換が重要になるのです。チームが共通の目標と期限について合意できれば、企業は成功に必要なスキル、専門知識、信頼できるテクノロジーパートナーに投資することができます。

 

4. AIを支える基盤を構築する

企業がAIや他の新たなテクノロジーに投資するにつれ、IT基盤のモダナイゼーションが極めて重要になります。25%のリーダーがAIテクノロジーを既存のシステムに統合することが難しいと考えており、86%のリーダーがAI実装について業界トップクラスであると主張しているにもかかわらず、将来的なリスクを管理できると考えているのはわずか29%です。家を建てる際にしっかりとした基礎が必要なように、企業はAIや他の新たなテクノロジーを現在または将来にわたって活用するために、堅牢で最新のITインフラの構築を優先させる必要があります。

 

 

ITモダナイゼーションは、戦略上の優先事項や一度限りのプロジェクトにとどまるものではありません。デジタルを最優先する世界において、企業が成長するうえで不可欠な取り組みなのです。企業はモダナイゼーションに重点的に取り組み、技術的負債に対処し、企業文化の転換を受け入れ、強固な基盤を構築する必要があります。それによって、回復力があり、将来に備えたITインフラを構築できるのです。

マイケル・ブラッドショー

グローバルのアプリケーション、データ&AIのプラクティスリーダー