キンドリルジャパン株式会社 代表取締役社長 上坂貴志
キンドリルが独立し、約2年が経とうとしています。私たちキンドリルは、独立系ITインフラサービスプロバイダーとして、多くのアライアンスパートナーと共に、お客様のミッションクリティカルな業務のシステム運用をご支援し、長期的なパートナーシップのもと、お客様の変革・戦略の実現に向け尽力しています。
お客様の変革をご支援し続けるために、キンドリル社員も最新の技術を習得しスキルを強化してきました。また、データセンターやメインフレームのインフラ、およびそれらに対応するプラットフォームなど、最適なソリューションを慎重に検討し、お客様のビジネスニーズにお応えし、最適で最大限のご支援について戦略的な意思決定を行ってきました。
こういった背景の中で、キンドリルはミッションクリティカルなITインフラを中心に、日本のITモダナイゼーションに貢献するため、今後数年間で日本における事業で1億ドルを投資することを発表しました。この投資は、日本のお客様、パートナー、社員、そして社会に対する重要なコミットメントであり、キンドリルが各国で実施する投資としては最大のものになります。日本のビジネスと社会に対するキンドリルの最高レベルのコミットメントができること、キンドリルジャパンの代表取締役社長としてとても誇らしく思います。
私たちは、ITインフラやプラットフォームのみならず、日本の未来の発展に向け、社会、そして地球へも寄与したいと考えます。私たちは、お客様、政府、社会と密に連携し、お客様のミッションクリティカルな業務へのご支援に最も注力し、ビジネス戦略を進めていきます。
日本のITインフラの多くがそうであるように、当社のデータセンターの中には、1990年代に構築されたものもあり、現在のお客様のニーズには対応しているものの、DXが進み、高度なクラウドコンピューティングやAIといった進化した将来的なニーズに対応するには難しい点もあると思われます。経済産業省のDXに関するレポートで指摘されているように、日本の基幹システムの60%以上は、2025年までに20年以上使用されることとなり、老朽化していきます。キンドリルは、お客様、政府、その他のステークホルダーと連携して、お客様のニーズの高まりに対応するために、これらの設備のモダナイゼーションに取り組んでいます。また、インフラストラクチャの信頼性と安全性を維持し、お客様がセキュリティ、レジリエンシー、持続可能性に関する技術的進歩の恩恵を受けられるようにする必要があると考えます。
1 億ドルのコミットメントは、新しい国内のデータ センター施設の関連と、データ センター内のメインフレーム テクノロジーのモダナイゼーションに向けられます。 お客様はデータセンターを 24 時間365日利用しておられ、10 社中 9 社が、今後もメインフレームが自社のビジネスに不可欠であり続けると考えています。 この取り組みによってインフラを刷新することで、日本のお客様が IT からより多くの価値を生み出すことができるようご支援してまいります。 キンドリルが委託した Coleman Parkes Research の調査によると、企業はITモダナイゼーションによって、収益性が 9% から11% 向上し、組織あたりの年間平均コスト削減額として 2,500 万ドルを実現できることが分かりました。 調査対象となったほぼすべての組織が、メインフレーム アプリケーションの少なくとも一部をクラウドまたは分散プラットフォームに移行すると回答しました。 キンドリルの新しいデータセンター施設はハイブリッド クラウドに対応しており、より高度なセキュリティと、クラウドとオンプレミスのワークロード間の低遅延接続を備えています。 私たちはお客様と緊密に連携して移行を進めてまいります。
メインフレームのモダナイゼーションでは、環境面でも重要な恩恵を受けられます。より効率的で強力なメインフレームユニットとなってその数を少なくできるため、電力消費量が削減されることが期待されます。これらの動きは、メインフレームを使用しているお客様のネットゼロ目標の達成をご支援します。
DXは、企業の長期的な計画、ステークホルダーとのパートナーシップ、継続的なイノベーションを含む包括的なプロセスです。またキンドリルは、社会、そして地球に対して継続的なコミットメントをしていく点についても述べたいと思います。
地球のために、キンドリルは2030年までに購入する電力の100%を再生可能エネルギーから調達し、2040年までにネットゼロを達成することを約束しています。また、世界最大級のITインフラサービスプロバイダーとして、お客様の持続可能な目標の達成をご支援させていただきます。私たちは、さまざまな業界のお客様に対してカーボン・マネジメント・プロジェクトを実施してきており、オープン統合プラットフォームであるKyndryl Bridgeには、お客様のサステイナビリティ目標の達成をご支援できるカーボン評価ツールが備えられています。
お客様のサステイナビリティ目標の達成をご支援した1つの例として、西濃運輸株式会社(以下、西濃運輸)と協力してデータセンターの二酸化炭素排出量を削減した事例があります。これは、先日発表したコーポレート・シチズンシップ・レポートにて紹介されています。データセンターは、施設を適温に保つため多くのエネルギーを必要とします。西濃運輸では、老朽化した空調システムを対象とし、環境を最適化する古いモデルをダイナミックなIoTシステムに置き換えました。この2つの取り組みにより、空調の消費電力を約3分の2に削減しました。
日本社会のために、キンドリルはキンドリル財団を通じて助成金を提供します。キンドリル財団は、 (1) 未来志向教育、 (2) 気候変動対策、 (3) インクルーシブ経済という3つの注力分野に焦点を当てて活動しています。また、キンドリルはすべての社員が自由にボランティア活動に参加ができるような休暇制度も確立しています。私たちは、ITスキル構築・育成という日本政府が推進するリスキリングの取り組みに則り、トレーニングプログラムとキャリア開発に引き続き取り組んでいきます。また、現在企業が直面している課題は複雑であり、国、地域の政策提言団体、経済団体との協業も重要であると考えています。キンドリルは一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)、在日米国商工会議所(ACCJ)、日米経済協議会、一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)、一般社団法人 テレコムサービス協会 (TELESA)など、日本国内、およびグローバルでの団体にも参画しています。また、最近では、日本の複数の企業と共同で「次世代システム運用コンソーシアム」を設立し、日本のITシステム運用を取り巻くさまざまな課題の解決と価値提供を支援しています。
日本では、金融、小売業、製造業、サービス業をはじめとしたほぼすべての業界で、新しいデジタル技術によって変革を進めています。しかし、1つの大きな問題は、企業や社会がデジタル技術による変革を成功させるために必要なスキルセットの提供と投資をどのように実行していくかという点です。これらの問題に対するサポートを通じて、私たちキンドリルは日本のお客様と社会にコミットメントを示し、社会的課題を解決するための新しいパートナーシップとソリューションの実現に貢献しています。私たちは、これらの重要な技術投資と、社会と地球への影響をより正確に把握することが、お客様のビジネス全体の成長につながり、より豊かな日本になることに貢献できるという明確なビジョンを持っています。
以上